今年の初夏、苔を大事に育てているお屋敷の草引きをした。
水やりをしたあとおもむろにスギナを抜いたら、その陰から小さなカマキリが慌てふためいて逃げ出した。 昨日生まれたんだろうか。今朝だろうか。見渡すとそこここで気配がする。 腕一本分向こうでは、ぴょんぴょん蜘蛛が別の小さなカマキリを捉えて食べている。 こうしてしゃがんでみて初めて見える世界。 私たちの静謐な日常では、いつも乱闘が繰り広げられている。
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家に生き物の気配があるというのは、いい。
洗濯物を干して窓の外を見ると、ポツンと落ちた白ツツジの側に、蜥蜴が佇んでいる。 美しい。 そう思ってカメラを手にとる。窓をそっと開けると、網戸のヘリにはまだ小さい蟷螂がいた。 ほら、外にお行きよ、厳しいけれど豊かなのはそっちだよ。 蜥蜴は、こちらを伺いながらも動く気配はない。 一歩、外に出て歩み寄る。 目を合わせて、しかし敵意を見せないようにゆっくりしゃがむと予期せぬ方向から音がした。 振り向くと、湿った溝の落ち葉とゼニゴケの間に沢蟹がいて、怯んだ様子を見せている。 ごめんよ、すぐに立ち去るから。この美しい場面はどうしても押さえておきたいの。 そのうち蜥蜴は体をくねらせ、去った。 雨の次の朝、今日はいい日だ。 |
Hrk writes. 両極端の、どちらも自分 Archives
November 2021
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