ずっと、心にこびりついている物語がある。
絵本で読んだのかどうかさえ定かではない。どこかで誰かが引用していたのを読んだのかもしれない。 それが、グリム兄弟の童話「キツネとネコ」。 話はこうだ。 キツネが、ネコに自分がどれだけ利口かを自慢していた。犬に襲われたときに使える方法をどれだけたくさん持っているかを話すキツネに対して、ネコは木に登ることしかしらない。キツネがネコに憐れみの目を向けたその時、ちょうど猟犬が二匹に向かって走ってきた。ネコは自分が知っている唯一の逃げ方をとって木に登った。したをみて、キツネに叫ぶ。「キツネさん!知恵の袋を早く開けて!」しかしキツネは捕らえられる。ネコは嘆く、自分のように木に登ってさえいれば命を失わずに済んだのに、と。 "You and your hundred tricks are left in the lurch. If you been able to climb like I can, you would not have lost your life." (原文:リンクより引用、日訳文責: 筆者) 私はあの狐のようになってはいないか。狩人が来たあとでさえ逡巡して、自らが誇る選択肢に溺れて死んだ、あの狐のように。 このまま行く先を決めきれずにこの場に立ち尽くしていると、時に引きずり込まれて過去と未来に引き裂かれてしまいそうだ。
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Hrk writes. 両極端の、どちらも自分 Archives
November 2021
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